以前書いた「DTM初心者のためのオーディオインターフェイス選び」という記事が多くの人に読まれていますが、それに伴いMIDIキーボードの選び方も教えてほしい、という声を多数いただいています。確かにMIDIキーボードもDTMをする上での必須アイテムであり、製品も数多くのメーカーからさまざまな機種が出ていて、価格も数千円のものから10万円超のものまでいろいろ。何をどう選べばいいか難しいところです。

そこで、ここではDTM初心者ユーザー向けに、USB接続のDTM用の比較的安価なMIDIキーボードにターゲットを絞った上で、そもそもMIDIキーボードとは何なのか、各機種によって何が違い、どのように選べばいいかを紹介するとともに、お勧め機種を9つほどピックアップしてみたので、じっくり見ていくことにしましょう。
※この記事は2014年に書いたものをベースに2017年に改訂したものです。
 

いろいろあるMIDIキーボードの選び方を考えてみよう

 
■MIDIキーボードって何?
私は鍵盤の演奏は下手だからMIDIキーボードっていらないよね?」と思う方も少なくないとは思いますが、たとえ鍵盤が弾けなくてもDTMをする上でMIDIキーボードは必須のアイテムといえます。なぜなら、ソフトシンセの音色を確認するためだけでも非常に役立つし、シンセサイザの音色づくりには必須。また打ち込みをする際にもマウスやPCのキーボードで入力するより絶対的に効率的だからです。そうステップ入力という手法を使うことで、まともに鍵盤が弾けない人でも、便利な入力ツールとして利用できるのです。

さらにソフトシンセなどほとんど使わず、オーディオのレコーディングが中心という人にとっても、最近の多くのUSB接続のMIDIキーボードにはトランスポートボタン(再生や停止、録音、早送りなどのボタン)やフェーダーなどが用意されているため、DAWのリモコンとしても有用なんです。

もともとMIDIキーボードというのはMIDI端子を装備した鍵盤のことで広義にはシンセサイザキーボードや電子ピアノなどを含むものです。そう鍵盤を弾くことで、その演奏情報(ドを弾いた、レを離した、ミを弱く弾いた……といった情報)がMIDI OUTの端子からMIDIのデジタル信号としてリアルタイムに送り出すことができるものを指しています。そしてそのMIDIの信号をPCのDAWが受信すると、リアルタイムにソフトシンセを鳴らしたり、シーケンサに記録してデータを入力していくことができるのです。

そのMIDIキーボード、見た目はいかにも鍵盤楽器ですが、実際には音が出ず、MIDI信号だけが出力されるものも多くあります。そしてDTMにおいては多くの場合、音を出す機能は不要で、MIDI信号だけ出力できればいいのです。そのため、ここでは音源機能のないシンプルなもの選び方を見ていきます。


MIDIキーボードとはいえ、MIDI端子もなくUSBでPCと接続するものが大半となっている 

もっとも最近はMIDI端子をMIDIケーブルで接続して……という使い方は少なくなっています。というのも、キーボードとPCを接続するのならMIDIケーブルを介すより、USBで接続したほうが遥かに使い勝手がいいからです。そう電源はUSBから供給できるし、PCでMIDIを扱えるようにするためのMIDIインターフェイスは不要だし、そもそもMIDIよりもUSBのほうが遥かに伝送スピードも速いので入力も出力も1本のケーブルで扱えてしまうからなんです。

そのため、MIDI端子自体を装備していないものも多く、その意味ではMIDIキーボードではなくUSBキーボードと呼ぶべきなのでしょうが、USBケーブルの中をMIDI信号が流れるのは事実なので、ここではMIDIキーボード、もしくはUSB-MIDIキーボードと呼ぶことにします。ちなみに最近はMIDIもUSBも使わず、Bluetoothで接続するタイプのワイヤレスMIDIキーボードなども登場してきているのです。

■MIDIキーボード選び、8つのポイント
さて、そのMIDIキーボード、たくさんのメーカーから数多くの製品が出ていますが、どのように選べばいいのでしょうか?選択のポイントはいろいろありますが、初心者向けの選択ポイントを8つほどピックアップし、簡単に解説してみましょう。

●鍵盤数
製品によって鍵盤の数が異なります。一般的に25鍵、37鍵、49鍵、61鍵、88鍵という5種類があり、キーボード演奏が得意な人であれば、88鍵や61鍵が欲しいところだと思います。得意でなくてもある程度演奏するのなら49鍵できれば61鍵欲しいところではあります。一方、シンセの音作り用や音色確認用途なら25鍵や49鍵でも事足ります。25鍵とはいえ、オクターブキーというものが用意されており、もっと高い音、もっと低い音を出すことも可能です。もちろん、設置するスペースがあるかというのも大事なところなので、用途に合わせて選んでください。なお、ピッチベンドモジュレーションホイールが搭載されているかもチェックしておきましょう。


写真のような25鍵の小さいものからピアノ同様88鍵あるものまでいろいろなサイズがある

 
●ミニキーかフルキーか
1つの鍵盤の横幅を見たとき、ピアノなどと同じサイズのフル鍵盤サイズ(フルキー)か、もっと小さいミニ鍵盤サイズ(ミニキー)か、というのも重要なポイントです。演奏性重視であればフルキーが必須ですが、シンセサイザの音色づくり用や、ステップ入力用であれば、ミニキーでも使えます。ミニキーならとにかくコンパクトに収まるのもポイントです。
 

上がフルキー、下がミニキー


●キータッチ
一般にキーボードには軽いタッチのライトウェイト鍵盤、やや重めなセミウェイト鍵盤(セミウェイテッド鍵盤)、ピアノと同等の打感を持つピアノタッチ鍵盤の3種類があります。しかし、MIDIキーボードの場合、多くはライトウェイト鍵盤で、一部にセミウェイト鍵盤があるという感じです。この感触ばかりは実際に触ってみないと分からないところですが、価格的にはセミウェイト鍵盤だと少し高くなります。


軽いタッチのライトウェイト鍵盤とおもり付で重めのセミウェイト鍵盤がある 

●コントローラ機能
単に鍵盤だけでなくフェーダーやツマミ、トランスポートボタン、パッド……といったコントローラ機能を備えたものもあります。これらは演奏用というよりも、DAWをリモートコントロールするためのもの。シンセサイザのパラメータ調整に使ったり、ミックスダウン時に利用するなど、DAWの操作性が飛躍的に向上します。とくにミックスに利用するのならフェーダーがいくつあるかのチェックも大切です。もっとも、専用のコントロールサーフェイスを買う予定があるのなら不要ですから、その点も見極めておきましょう。


鍵盤だけでなくフェーダーやツマミなどのコントローラ機能を装備したものもある
 

●iOSでの使用の可否
最近のMIDIキーボードはiPhoneやiPadと接続できるものも多くなっています。ただし、直接iPhoneやiPadと接続するためのケーブルが付属しているものと、間にUSB-Lightningカメラアダプタを必要とするものもあるので、これらと接続できるかどうかもチェックしておくといいですね。


iPadやiPhoneと直接接続可能なのかどうかもチェックポイント
 

●MIDI端子の装備
外部のMIDI機器とのやりとりをするためのMIDI端子がついているかどうか、つまりこれをMIDIインターフェイスにできるかどうかも一つのポイントです。オーディオインターフェイスにMIDI端子を装備している場合はとくになくてもいいと思いますが、外部MIDI機器とのやりとりを考えているのであれば、搭載しているものを選ぶといいでしょう。


MIDI端子を装備していればMIDIインターフェイスとしても利用できる 

●MIDI over Bluetooth LE(BLE-MIDI)への対応
2015年に正式な規格品となったワイヤレスでMIDIを飛ばすMIDI over Bluetooth LE(BLE-MIDI)に対応したキーボードも登場してきています。これを利用することで、まったく配線しなくてもMIDIキーボードが利用可能になり、従来にない自由度と使いやすさを実現することが可能です。またiPadやiPhoneと接続する場合でもLightning-USBカメラアダプタなしで直接つながります。ただ、USBやMIDIケーブルで接続するのと比較すると若干のレイテンシーがあるのがウィークポイントではあります。

Bluetoothでワイヤレス接続できるキーボードも少しずつ登場してきている

●付属ソフト
製品によってはDAWが付属していたり、ソフトシンセをバンドルしているもの、またiPhoneやiPadのアプリが用意されているものなどもあります。これらがあれば、即、演奏を楽しむことが可能になるので、どんなアプリが搭載されているのか確認しておくといいでしょう。


バンドルされているソフトシンセがあるか、どんなものなのかも大きなポイント

■初心者用おすすめ9機種
以上、8つのポイントでMIDIキーボードの選び方を見てきましたが、いかがだったでしょうか?人によってニーズは違うと思うので、こうしたポイントを頭に入れた上で、自分にマッチしたMIDIキーボードを選びましょう。

ここでは現在発売されている主なキーボードのうち、初心者用としておすすめの9機種をピックアップしてみました。鍵盤数の少ないものから順に並べてみたので、気に入る製品を探してみてください。

【KORG : nanoKEY2

[25鍵]
[ミニ] [ライト] [iOS-要カメラアダプタ]
とにかく軽くて小さく、安価なMIDIキーボード。白と黒の2モデルがあるほか、コンローラ専用のnanoKONROL2、パッド専用のnanoPAD2という姉妹品もあり、3つ同時に接続することもできます。専用エディター・ソフトでキーアサインの変更も可能。
【メーカーサイト】
【価格チェック】
◎Amazon ⇒ nanoKEY2
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【CME : Xkey】

[25鍵] [フル] [ライト] [iOS-要カメラアダプタ]
フル鍵盤ではあるけれど、とにかく薄くてシンプルなのが特徴のキーボード。打鍵の深さはないのですが、しっかりベロシティーも検知されます。ユニークなのはサスティンペダルならぬサスティンボタンがあること。打ち込み用途では便利に使えます。なお、37鍵タイプのXkey 37、さらにはBLE-MIDIに対応したXkey Air 25、Xkey Air 37といった製品もあります。
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◎Amazon ⇒ Xkey 
◎サウンドハウス ⇒ Xkey 
◎Amazon ⇒ Xkey 37 
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【Arturia : KEYLAB 25】

[25鍵]
[ミニ] [ライト] [iOS-要カメラアダプタ]
25鍵のミニキーボードに9つのフェーダー、11個のツマミ、さらに20個以上のボタンを装備した機材ですが、最大の特徴は往年のアナログシンセを再現したArturiaのソフトシンセの集大成、AnalogLabがバンドルしていること。ソフトシンセ価格としてみても安いです。なおKEYLABには25鍵タイプのほか、49鍵、61鍵、さらにはFATER社のキーボード搭載の88鍵までバリエーションが豊富です。
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【IK Multimedia : iRig KEYS Universal】

[37鍵]
[ミニ] [ライト] [iOS直]
USBケーブル、Lightningケーブル、さらにAndroidで使うためのOTG to USBケーブルの3種類が付属しているので、あらゆる機材と即接続して使えるのが最大の特徴です。ミニ鍵盤ではあるけれど、かなりしっかりした作り。SampleTank 3 SEなどがバンドルされているのも大きな特徴です。
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◎Amazon ⇒ iRig KEYS Universal
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【KORG : microKEY Air 37】

[37鍵]
 [ミニ] [ライト] [iOS-要カメラアダプタ][BLE-MIDI]
KORGの人気見ミニキーボード、microKEY2にMIDI over Bluetooth LE(BLE-MIDIを搭載したモデルです。普通にUSB接続ができる一方、iPhone/iPadやMacと接続できるだけでなく、KORG独自ドラバによりWindowsでも利用可能となっており、レイテンシーが小さいのも大きなポイントです。この37鍵モデルほか、25鍵、49鍵、61鍵のものもあります。
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AKAI Professional:ADVANCE 49】

[49鍵]
 [フル] [セミウェイト] 
セミウェイト鍵盤で液晶ディスプレイのついたADVANCE KEYBOARDSシリーズは、VIP Softwareというユニークなソフトが付属しているのが大きな特徴です。単に鍵盤というだけでなく、まるでハードシンセのようにPCを触らなくてもここからVSTインストゥルメントを選択し、操作できてしまうというもの。さらに購入すればキーボードの価格を遥かに超えるVSTインストゥルメントが数多く付属しているのも大きな魅力です。
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【Novation : Launchkey MKII 49】

[49鍵]
 [フル] [ライト] [iOS-要カメラアダプタ]
novationのLaunchkey MK2はAbleton Liveに最適化されたUSB-MIDIキーボードで複雑な設定をすることなく、鍵盤、フェーダー、ノブ、パッドを使用してすぐに音楽制作を始めることができます。もちろん、Ableton Live以外の各種DAWでもIn Controlテクノロジーというものにより、一発で対応させることが可能です。49鍵モデルのほか、25鍵、61鍵モデルもあります。
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◎Amazon ⇒ Launchkey 25 MK2
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◎Amazon ⇒ Launchkey 49 MK2
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【Native Instruments : KOMPLETE KONTROL S61】

[61鍵]
 [フル] [セミウェイト]
Fatar社製のセミウェイト鍵盤を使用したKOMPLETE KONTROL Sシリーズは、その名のとおり、KOMPLETEに最適化された高性能キーボードで、KOMPLETE 11 Selectがバンドルされているのが大きな特徴。ライトガイドというLEDが各鍵盤に装備されており、各キーの役割を色で知らせてくれるため、非常に扱いやすくなっています。これはNKSというシステムに対応しているためですが、Native Instruments製品以外にもNKS対応のソフトウェアが増えてきているので、応用範囲が広がってきています。なお、25鍵、49鍵、61鍵、88鍵の4種類があり、88鍵モデルのみはフリウェイトキーボードとなっています。
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【Roland : A-800PRO】

[61鍵]
 [フル] [ライト]
61鍵を装備したMIDIキーボード。フェーダーやパッド、ツマミなどを多く備えコントローラとしても充実しています。USB接続するだけで使えるモードのほかに、ドライバを要するアドバンスドモードで接続すると、よりレイテンシーを小さくすることも可能です。
【メーカーサイト】
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◎Amazon ⇒ A-800PRO
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