しかも、Arsenal(アーセナル)というTrigger Finger Proと連携させるためのソフトがバンドルされており、DAWなしに、これを介してVSTインストゥルメントやAudioUnitsのソフトシンセを動かして鳴らすことができてしまうのです。一言では説明しきれない多彩な機能を持った4万円弱のこの機材について紹介してみたいと思います。
一番シンプルな使い方は、これをPCとUSB接続し、ドラム音源やシンセを鳴らすというもの。通常、こうしたコントローラで音源を鳴らす場合には、DAWを起動してシンセを組み込んで……という方法をとりますが、Trigger Finger Proの場合、付属のArsenalというソフトを起動すれば、すぐに音を鳴らせるのです。
DAWにシンセを組み込んで使うとなると、とくに初心者の場合、操作が分からなくて苦労するケースも多いと思いますが、Arsenalの場合、AIR DrumsとHybrid 3も同時にインストールされてセッティングされているし、基本的に起動後、音色を選べばすぐにTrigger Finger Proを叩いて演奏することができるので、簡単ですよ。
指ドラムという感じで叩いてみても、気持ちよく反応してくれ、ベロシティーの感知もいいですね。FIXEDボタンを押すと、わざとベロシティーを固定させて単調にさせることができるし、ROLLボタンを押すと、ルールプレイができるなど、叩いているだけで時間を忘れて楽しめてしまいますよ。
このAIR Drumsの追加音色ライブラリや2.5GB以上の最新のエレクトロニック・ミュージック・サウンドや、Prime Loopsによる5GB以上のパーカッション・サウンドなどもバンドルされているので、音のバリエーションも豊富です。
このようにリアルタイムプレイが可能なわけですが、もちろんシーケンサでパターンを組んでいくことも可能です。ここでユニークなのはPCがシーケンサになるのではなく、Trigger Finger Pro自身がシーケンサであるという点です。シーケンスデータの組み方は大きく2種類。まずは、MPCのように16個のパッドを叩いてリアルタイムにレコーディングしていくという方法。単純にRECボタンを押せば、記録していけるので、簡単に気持ちよくフレーズを作っていくことができます。
でも「リアルタイムプレイは苦手」という人も少なくないはず。そんな場合は手前に並ぶ16個のボタンを操作していくことで、ステップを組んでいくことができます。そう808や909といった昔ながらのドラムマシンでの組み方とまったく一緒。SEQモードにして、パッドで音色を選び、このボタンでパターンを組んでいくわけです。オンにするとLEDが点灯するのでわかりやすいですよ。リアルタイムレコーディングした結果を、ここで修正することもできるし、反対にステップで打ち込んだのち、リアルタイムで追加していくといった方法もできますね。
プリセットの「Stbg&Arsenal」を選択すれば、Cubase上ですぐに使える
フェーダーがDAWで利用できるほか、DAWを操作するためのカーソルキーなども用意されている
なお、Trigger Finger Pro上のフェーダーやノブ、ボタン類はDAWのコントロールサーフェイスとしても利用することが可能です。しかもTrigger Finger ProはMackie ControlやHUIプロトコルに対応しているので、どのDAWでも即、フル活用できてしまいます。
さて、冒頭でも紹介したとおり、Trigger Finger Proはスタンドアロンのシーケンサとしても使えるというのもユニークなポイントです。PCと接続した場合はUSBからの電源供給となりますが、スタンドアロンで動かす場合は別売のACアダプタを使って動かすことができます。
リアパネルを見ると、ここにはMIDI OUTがあるので、これを用いて外部のMIDI音源モジュールを鳴らせるわけです。最近はKORGのvolcaやArturiaのMICRO BRUTE、RolandのAIRAなど、いろいろなシンセサイザが登場し、どれもMIDIでコントロール可能になっていますから、これらを鳴らすためのシーケンサとしてTrigger Finger Proを使うことができるわけです。
使い方自体は、実はArsenalでの操作とまったく同じ。別の見方をすれば、Arsenal自体がMIDI音源の一つとして利用できた、ということなんですね。
そこで思いついたのは、以前記事で紹介したiConnectMIDI4+を介在させるという方法です。iConnectMIDI4+にUSBハブを取り付けて、Trigger Finger Proとポケット・ミクの双方に接続してみたら、あっさり動いてくれましたよ。そう、これでポケット・ミクを歌わせることができたのです。電源自体もiConnectMIDI4+経由で供給することができるので、別売ACアダプタ不要で動作させることができますね。
以上、Trigger Finger Proについて、本当に触りだけを紹介してみましたが、いかがでしたか?初めてトラックメイキングにチャレンジしたいという人でも、簡単に扱えるし、DAWを使いこなしている人にとっても、かなり多機能で便利に使えるデバイスだと思います。しかもAIR DrumsとHybrid 3という強力な音源もバンドルされて4万円以下で入手できるのですから、なかなか魅力的だと思います。
【製品情報】
Trigger Finger Pro製品情報
【価格チェック】
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