誰でもブラウザで簡単にAI作曲。AIボーカルも入って1日5曲まで無料で作れるSongR BETA登場

ここ数か月、AIの進化が加速していて、時代についていけなくなりそうです。音楽関連のものも次々と登場していて、いつも驚くばかりですが、ここ数日SNSのタイムラインで何度か目にしたのがSongRなるもの。「これ、何だろう?」とリンクを踏んでみたところ、AIが自動作曲・編曲してくれ、作詞もしてくれるし、自分で歌詞を入力すればそれに合わせて歌ってもくれるというサービスだったのです。

アプリをインストールしたりする必要もなく、ブラウザで使えるサービスであるためWindwosでもMacでもiPhone、Androidでも何でもOKというもの。まだスタートして1、2週間のようですが、現在ベータ版という扱いだからか、誰でも無料で使うことができ、サービスとなっています。まだ発展途上という感じではありますが、今後進化していくと、かなり凄いものになりそうな気もするシステムだったので、ちょっと紹介してみましょう。

ブラウザ上でAIが自動作曲、編曲、作詞もしてくれるSongR BETA

SongRはブラウザ上で、AIが自動作曲・編曲・歌唱してくれるユニークなサービスで、アメリカのベンチャー企業、RIFFIT社が開発したシステムです。とりあえず試してみたい、という方は

にアクセスしてみれば、すぐに使うことが可能です。現在のところ無料というだけでなく、ユーザー登録も不要で作曲させることができるんですね。

使い方はいたって簡単。トップ画面には
トップ画面には4つの曲ジャンルが表示されているので、この中から作りたいジャンルを選択

Pop、Hip hop、Cafe、Piano Rockという4つが表示されているので、この中から作りたい曲のジャンルを選択します。

作詞もAIにしてもらいたい場合は、真ん中の項目に、少しでも思いついた歌詞や単語を入力した上で、矢印ボタンをクリックします。

4つのジャンルの中から1つを選び、自動作詞もしてもらうなら、中央部に関連する単語や短い歌詞などを入力

また、すでに歌詞を用意しているのであれば下にある「I have my own lyrics」をクリックした上で歌詞をテキストで入力します。その上でRENDERをクリックすれば準備完了。

歌詞がある場合は「I have my own Lyrics」をクリックした上で、歌詞を入力して「Render」でOK

あとはAIが1~2分考えて曲を作り上げてくれるのです。完成したブラウザで再生することができるのはもちろん、各種SNSでシェアすることできるし、そのデータをダウンロードすることも可能となっているのです。

この自動作詞機能を使ってみるのも良さそうですが、せっかくならもう少し賢いAI作詞にお願いしてみようと、ChatGPTではなく、こちらも5月11日に日本語版が登場したばかりのGoogle BardにDTMステーションの歌を作ってもらいました。

5月11日に日本語対応したGoogle Bardに作詞をお願いしてみた

せっかくGoogle Bardが日本語で使えるようになったので、日本語で歌わせたいところではありますが、SongRが英語の歌詞のみに対応ということのようなので、Google Bardには英語の歌詞を作るようにお願いしたのです。

その上で、SongRに貼り付けて、Popを歌わせてみたのがこちらです。

どうですか? まあ、まだイマイチというより、イマニ、イマサンな感じではありますが、ここ最近のAIの進化スピードを考えると数か月もするとトンでもない作曲能力、編曲能力を備えてくるのでは…という気もしてきます。

一方で、この歌を歌うのはEmilyという女性ボーカルと、Kevinという男性ボーカルを選択でき、ここではEmilyを選んでいます。

聴いた感じでは、かなり滑らかで歌声合成とは思えないクオリティーになっていますよね。DTMステーションにおいてはSynthesizer VCeVIO AIなど、最近のAI歌声合成についていろいろ記事にしてきていまsが、このSongRの歌声合成もそれらに負けないクオリティーになっているように思いました。

同じ歌詞をCafeを選択した上で、男性ボーカルのKevinに歌わせてみたのがこちらです。

ちなみに、ダウンロードできるのはMP4ファイルの動画形式となっていて、この中にMP3ファイルが格納されている形になっているようですね。

無料ということもあり、現在のところ1日に作曲できるのは5曲まで。IPアドレスをチェックしているのか、同じネットワーク環境にあるマシンだとそれ以上はできないようです。特にできあがった曲に関する著作権などが明記されているわけではないので、自由に利用することはできるようです。

クオリティー的には、まだ発展途上ではあるけれど、末恐ろし感じもしますね。

※2023.5.14追記
歌声はSynthesizer VのKevinとSolariaだった!!
Kevinという名前を見て「Synthesizer Vと同じだな…」と思っていましたが、Twitter上でも「これはSynthesizer VのKevinの声だろう」との指摘を数多くいただきました。確かに声もよく似た雰囲気ですが、一方で「EmilyはSynthesizer Vにいないぞ…」と思っていました。それに対しTwitterで「EmilyはおそらくSolariaの声だろう!」という指摘もいただいていました。Solariaとは、先日「【NAMM2023レポート3】アメリカのSynthesizer Vベンダー、Eclipsed Soundsが目指す歌声合成の世界」という記事で紹介した、米Eclipsed SoundsによるSynthesizer V用の歌声データベースですね。真相を確認しようとTwitterおよびメールで、開発元のRIFFITに問い合わせをしたのですが、週末ということもあって、まだ返事が来てない状況です。一方、Synthesizer V開発者の開発者であるDreamtonicsKanru Hua(@khuasw)さんに連絡をしてみたところ、すぐに判明しました。ちょうどベルリンのSuperboothに出張で出かけていたKanruさんですが、「実はRIFFIT社とは以前からやりとりをしていました。まだSongR、リリースしたばかりなのに、もう話題になっていたんですね!」と驚きの声。まさに指摘のとおり、KevinとSolariaだったようです。「もう少し作曲のクオリティーが上がったタイミングでSynthesizer Vの声であることを公開しようと思っていたんですが…」とのこと。Synthesizer Vの無断使用じゃないか…と心配していた方もいたかもしれませんが、Dreamtonicsとはしっかりライセンス契約も結んだ上で、公開していたようです。また情報のアップデートがあればお知らせしていこうと思います。

 

※2023.5.15追記
RIFFIT社からのメールの返事

今朝、RIFFIT社のCEOである、Lex Van der Ploeg博士からメールでお返事がありました。やはりKanruさんから連絡いただいた通り、Dreamtonicsと強力しながら開発してきて、Synthesizer VのKevinとSolariaを使っているとのことです。また、ぜひDTMステーションの読者にお知らせしてきたいということで、いくつかの情報を箇条書きでもらったので、そのまま翻訳したものを掲載しておきます。

・弊社では、SongR および RIFFIT Reader ( https://www.riffit.com/ ) の機能用に、独自の共同ソフトウェア パッケージをいくつか用意しています。
・SongR は一般用途です。RIFFIT Readerは、個人学習/読解力を向上させ、教室で使用することを目的としています。
・SongR/RIFFIT Readerを学習障害のある人々の治療と一般的なコミュニケーションの向上に使用することは、発行された米国特許によってサポートされています。
・コミュニケーションやエンターテイメントとしての幅広い用途が急速に普及しています。
・これらには実際に、Emily用に使っているSolaria、ニューヨーク ブロードウェイ アーティストであるKevinなどが含まれる音声ライブラリがいくつかあります。
・私たちは Dreamtonicsと緊密に連携しており、Synthesizer Vを活用しています。

 

【関連情報】
SongR BETAサイト
Google Bard

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