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作曲を始めてわずか6年。 aespa、MISAMO、JO1、なにわ男子、timelesz、Da-iCE…などを次々と手掛ける若手作曲家TSINGTAO

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コロナ禍で演奏の仕事を失ったことをきっかけに、作曲の世界へ飛び込んだ元ドラマーの作曲家・音楽プロデューサー、TSINGTAO(チンタオ)さん。作曲を始めたのは2020年ですが、この6年でJO1「NEWSmile」なにわ男子「Black Nightmare」Da-iCE「ホンネはJoke」DA PUMP「SUSHI PARTY」MISAMO「Message」aespa「In Halo」INI「FIRST」と人気グループの楽曲を次々とコーライトで手掛け、コンペで年間15曲以上の採用をコンスタントに勝ち取る作家へと駆け上がってきました。2026年には文化庁の補助金によるCEIPAの「海外で活躍が期待される次世代クリエイティブ人材育成プログラム」でロサンゼルスのプロデューサー部門候補生にも選ばれ、活動の場を世界へと広げつつある、今注目の若手クリエイターです。

1995年生まれで、慶應義塾大学ではブラックミュージックに魅了され、卒業後はドラマーとして音楽活動を本格化。コロナ禍ではPCを買うためにITベンチャーへ就職し、会社員として働きながら隙間時間で曲を作り続けるという、異色の経歴の持ち主でもあります。そんな作曲経験ほぼゼロだった会社員が、なぜわずか6年で人気アーティストの楽曲を手掛ける職業作曲家になれたのか、そして普段どんな環境で曲を作っているのか、キャリアの歩みから制作環境まで、じっくりとお話を伺ったので、そのインタビューの模様を紹介していきましょう。

作曲開始からわずか6年でJO1やなにわ男子の楽曲を手掛ける、作曲家TSINGTAOさんの足跡と次なる狙い

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小5で出会ったドラムと、慶應で研究した機械学習による音源分離

ーーJO1やなにわ男子、MISAMOと、ヒットチャートの常連グループの曲を次々と手掛けるTSINGTAOさんが、どんな道を歩んで作曲家になったのか。まずは生い立ちからお伺いさせてください。
TSINGTAO:生まれは神奈川県の厚木です。ただ父が転勤族だったので、4歳のときにアメリカへ渡り、サンフランシスコに2年ほど住んでいました。現地の小学校に1年生くらいまで通って、帰国後は長野県に1年ほど。小学2年生のときに神奈川へ移って、そこからはずっと神奈川です。

ーー音楽はいつから始めたのでしょうか?
TSINGTAO:きっかけは小学校の友達です。バリ島に行った後になぜかウクレレを買ってきて、「一緒に音楽を始めよう」と誘われました。ちょうど学校の音楽室にドラムセットが置いてあって、僕はでかい楽器のほうが気になってしまって。それで小学5年生のころから、休み時間のたびに音楽室へ集まって、ドラムを叩くようになりました。

ーーそこからドラム一筋になっていったのですね。
TSINGTAO:いえ、中学では陸上部に入ったので、部活の合間に細々と続けている程度でした。それでも中学生のときにヤマハのDTXシリーズの電子ドラムを買ってもらって、家で練習できる環境だけはありました。本格的にのめり込んだのは、高校で軽音楽部に入ってからです。いろいろな人とバンドを組んで、コピーを中心にとにかく叩いていました。オリジナル曲を1〜2曲作ってみたこともあるのですが、当時は作曲にはそこまで興味がなくて、演奏の方が好きな子でした。

高校・大学と演奏漬けだった学生時代を語るTSINGTAOさん

ーー高校卒業後は、どうしたのですか?
TSINGTAO:慶應義塾大学に進んで、ブラックミュージック系のバンドサークルに入りました。スティーヴィー・ワンダーのようなモータウン系から、ジェームス・ブラウンやファンク、ソウル、R&Bまで幅広く演奏するサークルです。もともとはパンクロックが好きで、そこからレッド・ホット・チリ・ペッパーズにハマって、気づいたらファンクが一番楽しくなっていました。

ーーちなみに、学部はどちらだったのですか?
TSINGTAO:理工学部です。所属していたのは機械学習系の研究室で、機械学習を使った音源分離をテーマにしていました。まだAIという言葉がほとんど使われず、機械学習やディープラーニングと呼ばれていた時代です。音源分離も今でこそ当たり前の技術ですが、当時は精度もそこまで高くなくて、ホワイトノイズのような規則的なノイズを除去する研究で、卒業論文もそのテーマで書きました。

ーー慶應の理工学部から音楽の道へ進む人は、なかなかいませんよね。普通はそのまま就職しそうなものですが。
TSINGTAO:確かに、いないと思います(笑)。ただ、大学在学中にドラムで少しずつお金をいただけるようになって、演奏で食べていきたいという気持ちが芽生えてしまったんです。周りはみんないいところへ就職していく中、僕は就職活動をせずに卒業して、アーティストのサポートなどドラマーの活動を本格的に行うようになりました。

コロナ禍で消えた演奏の仕事と、山口ゼミとの出会い

ーーそのサポートドラマーの生活から、どうやって作曲の世界へ入っていったのですか?
TSINGTAO:コロナ禍がきっかけでした。ライブをはじめ、演奏系の仕事が物理的に全部なくなって、本当に何もできなくなってしまいました。そんなときに演奏仲間の友達から「制作を始めてみたら」と誘われて、紹介してもらったのが山口ゼミでした。その友達は僕より先に山口ゼミを受講していて、ゼミがコーライティングを推奨していることもあり、「一緒に作らない?」と。僕はたまたま英語ができたので、最初は英語の歌詞を手伝うくらいの気軽な感覚でした。

ーーとはいえ、受講にも制作にもお金がかかりますよね。
TSINGTAO:そうなんです。当時は本当にお金がなくて、PCすら持っていませんでした。そこで演奏できない今何か新たな活動をして機材環境を整えようと、初めての就職活動をしたんです。プログラミングはできたので、独学で簡単なアプリを作って、それを持ってプログラミング系のベンチャー企業に「こういうものなら作れます。働かせてください」と直談判して、正社員として採用してもらいました。

社員10人にも満たない会社で、大手交通系サービスのテストをAIで自動化するプログラムを書く、音楽とはまったく関係のない仕事です。コロナ禍なのでリモートワークかと思いきや、客先常駐のためほぼ毎日出社で、音楽活動との両立が最初は非常に大変でしたね。この会社には約3年間お世話になりました。

ーー実際に山口ゼミを受講してみて、印象はいかがでしたか?
TSINGTAO:驚きの連続でした。高校時代の作曲は、コードと歌詞とメロディーを譜面に書いてバンドメンバーに渡す、というレベルのものだったので、職業作家を目指すなら完成形のデモを作って送らないといけないこと、しかもそれがPC1台で完結してしまうことに、まず驚きました。

山口ゼミには、主宰の山口哲一さんと、元ジャニーズ(現STARTO ENTERTAINMENT)で音楽プロデューサー兼A&Rを務めていた伊藤涼さんがいます。提出した曲には月に何回か伊藤さんからコメントがもらえるのですが、僕はもう散々な言われようで。とにかくクオリティが低い、これでは全然話にならないと、毎回コテンパンでした。それが悔しくて、そこからいろいろ勉強していきましたね。

山口ゼミを受講し、Co-Writing Farmに所属後、数カ月で楽曲が採用されたとのこと

ーーそのクオリティの壁は、どうやって乗り越えたのですか?
TSINGTAO:山口ゼミの卒業生が所属するCo-Writing Farm、通称CWFには、いろいろな技術を持ったクリエイターが集まっています。その中から自分と合いそうな先輩を見つけて、個別にレッスンをお願いしていました。一番最初はボーカルエディットやボーカルミックスを水流さんに、トラックアレンジを竹島さんに教えていただきました。PCのスペックの選び方、オーディオインターフェイスとは何か、ボーカルエディットの方法。

本当に「どうやって作るの?」というレベルから、知りたいことをピンポイントで聞いて回っていましたね。山口ゼミ自体は、DAWの操作だけで完結しない、もう一段上のレイヤーから作曲を見ているのが特徴だと思います。相手が何を求めているのか、どうピッチングしてどういう契約になるのかといった総合的な授業が多いので、職業作家としての考え方はゼミで、技術的な基礎はCWFの先輩から、と使い分けて学んでいました。

ーーコテンパンにされながらも、やめようとは思わなかったのですね。
TSINGTAO:いろいろ言われはするんですけど、楽しいほうが勝っていましたね。それまでポップスをあまり聴いてこなかったのですが、ちょうどK-POPが流行り出した時期で、NCTにハマってしまって。彼らの楽曲はR&Bやファンク、ヒップホップといった自分の好きなジャンルがベースになっているんです。歌謡曲から発展した従来のアイドルソングとは違う、こういう曲を自分も作ってみたいと思えたのが大きかったですね。

CWF加入3ヶ月で初採用。給料は機材と仮歌に注ぎ込んだ会社員時代

ーーCo-Writing Farmには、どのタイミングで所属したのですか?
TSINGTAO:3ヶ月の山口ゼミと、半年間の上級講座である山口ゼミextendedを経て、2021年6月にCWFへ所属しました。31期生になりますね。CWFは作家コミュニティにエージェント機能が付いた組織なので、メンバーになると作家事務所と同じようにコンペ情報が届くようになります。そこから、ひたすら曲を出す日々が始まりました。

ーー最初の採用を勝ち取るまでの道のりは、どうでしたか。
TSINGTAO:運がよかったと思うのですが、加入から3ヶ月ほどで最初の採用が取れました。ZILLIONの前身となるオーディション番組「ONE in a Billion」内で使用された楽曲です。そこからさらに3ヶ月で4曲ほど決まって、その中にDa-iCEの「ホンネはJoke」がありました。Da-iCEクラスのアーティストで採用が取れたことで、これはいけるかもしれない、と手応えを感じましたね。

ーーその間も、ずっと会社員だったのでしょうか?
TSINGTAO:はい、普通に会社員でした。昼間は出勤して仕事をして、どうにか隙間の時間で曲を作る生活です。給料をもらっては機材を買う、の繰り返し。収入面でいうと、採用が取れてもそんなに大きな額にはならなくて、この世界の現実は大変なんだなと痛感しました。それでも採用が取れると楽しくて、もっと作りたいという気持ちのほうが先行していましたね。

ーーそれでも、すぐに会社を辞めようとは考えなかったと。
TSINGTAO:早く作家として食べていきたいという野望は、もちろんありました。ただ、会社員の安定した収入があったからこそできたスタイルもあったんです。僕はとにかくボーカルが大好きで、仮歌には相場の何倍もお金をかけていました。

普通は1曲3,000円から5,000円くらいのところを、3万円、5万円という金額を払って、自分が一番いいと思う人にいい仕事をしてもらう。作曲を始めたのが遅かった分、採算度外視でクオリティを買いにいくのが僕の戦略で、それを支えていたのが会社員としての給料でした。ある意味、当時は高級な趣味に近かったのかもしれません。なので、すぐに辞めるという発想にはなりませんでしたね。

JO1「NEWSmile」の採用と、転機となったスウェーデン行き

ーーその後の採用で、特に大きかったものというと、どの曲になりますか?
TSINGTAO:作家を始めて2年ほどで採用された、JO1の「NEWSmile」です。2023年の第74回NHK紅白歌合戦の披露曲に選ばれて、再生数もセールスも大きな曲に携わることができました。自分の中では、ここが明確なターニングポイントでしたね。

ーーターニングポイントというと、そこから何が変わっていったのですか?
TSINGTAO:ちょうどそのころ、伊藤涼さんから「スウェーデンに行ってみないか」と打診をいただいたんです。伊藤さんはCWFとは別にマゴダイという音楽制作の事務所を率いていて、そこで若手をヨーロッパへ送り出す機会があり、洋楽志向が強くて英語も話せる僕に声をかけてくださいました。

別の作家と2人で、ほぼ1ヶ月行く予定でした。会社に1ヶ月ほど休みを取りたいと相談しましたが、進行中のプロジェクトとの兼ね合いもあり、当然それはできず。話し合いの末、「それでしたら退職します」とご迷惑をかけてしまいましたが退職を決意しました。「NEWSmile」の採用の後だったので、お金もなんとかなるだろうという楽観的な考えで飛び込んでしまいました。正直、そんなになんとかなってはいないんですけど(笑)。いくら貯めたら辞める、といった計画があったわけではなくて、本当に偶然の連続で今ここにいる感じです。

ーー思い切った決断ですね。実際、初めてのヨーロッパでのセッションはいかがでしたか。
TSINGTAO:すごく刺激的でした。スウェーデンは作曲家の大国と聞いていたので緊張して行ったのですが、制作のレベルの高さはもちろん、コーライティングの概念そのものが覆されました。日本の共同制作は、トラック、メロディー、歌詞と担当を分けて、それぞれが自分のパートを仕上げる分業の側面がまだ強いと思います。

ところが向こうでは、トラックメーカーもメロディーのアイデアをどんどん出すし、「このトラックはこういう意図で作っているから、メロディーはこうあったほうがいい」というディレクションが飛び交うんです。分担ではなく化学反応。あれを間近で見られたのは、本当に大きな経験でした。

ーーその化学反応から生まれた成果も、ぜひ教えてください。
TSINGTAO:スウェーデンで作った曲では、DA PUMPさんの「SUSHI PARTY」が採用されています。

それに、現地で知り合ったスウェーデンやフィンランドの作家とは帰国後も定期的に一緒に制作していて、ヨーロッパの作家が来日した際のセッションで作った曲が、INIの「FIRST」に採用されました。1回のチャンスで終わらずに、そこからどんどん広がっていく感覚がありましたね。

ーーマゴダイの名前が出ましたが、CWFとの関係はどうなっているのですか?
TSINGTAO:今は契約上、マゴダイの専属作家になっています。マゴダイはダンス系やK-POP系など、海外志向の強い制作が多い事務所です。ただ、CWFにも特別に所属という形で残っていて、両者は長年お互いを支え合ってきた、ほとんどパートナーシップに近い関係なんです。CWFはクリエイターのコミュニティなのでコンペの幅が一番広く、その中で海外志向の強い人が、マゴダイの仕事にも参加していますね。

なにわ男子にMISAMO、aespa。文化庁支援のプログラムでLAへ

ーーなるほど。そうした繋がりの中から生まれた曲で、特に印象深いものはありますか?
TSINGTAO:印象深いのは、2025年9月リリースのなにわ男子「Black Nightmare」です。LAを拠点に活躍する作家のヒロイズムさんと、グラミー賞の受賞歴があるLAのプロデューサー、Peyote Beatsさんとの3人で書いた曲で、これも伊藤さんが繋いでくださった縁でした。両A面シングルのリード曲としてセールスも大きく、普段お世話になっているヒロイズムさんたちとこの規模のJ-POPを書けたことは、自分の中でも大きな出来事でしたね。

ーーもともと好きだったというK-POPのほうは、どうですか?
TSINGTAO:K-POPはなかなか壁が厚くて、ずっとチャレンジし続けてきました。それがようやく実を結んだのが、2025年4月リリースのMISAMOの「Message」で、映画「かくかくしかじか」の主題歌に起用された曲です。

2026年7月には、aespaの日本1stミニアルバム「KISS N TELL」収録の「In Halo」にも参加しました。NCTが好きでK-POPを書きたかった身としては、この2曲は本当に嬉しかったですね。

ーーちなみに、現在の採用ペースはどのくらいなのですか?
TSINGTAO:コンスタントに年間15曲以上は決まっています。作っている数でいえば、歌詞のコンペも含めて年間100曲くらいでしょうか。ビッグカットがなかなか取れない時期はありますが、採用自体がまったく取れない時期は、あまりないと思います。

ーーお話を聞いていると、視線がどんどん海外へ向かっていますね。今の動きについても教えてください。
TSINGTAO:大きいところでは、文化庁の補助金による事業としてCEIPAが実施している、「海外で活躍が期待される次世代クリエイティブ人材育成プログラム」に2026年から参加しています。応募の中から9人の候補生が選ばれ、北米、ASEAN、ヨーロッパの3地域へ、プロデューサー、作詞・作曲家、アーティストの3名ずつが派遣される事業で、僕はそのLAのプロデューサー部門に選んでいただきました。

日本から海外へクリエイターを送り出して、世界で活躍する人材を発掘育成していく3年計画の事業で、今が2年目です。渡航費や宿泊費のサポートを受けながら、現地在住のメンターの加藤さんにコーディネートしていただき、LAでのライティングセッションを行っています。LAにはヒロイズムさんもいるので、ヒロイズムさんともコライトをしたり、ライターを紹介してもらったりなどとてもお世話になっています。

ーーでは、今後の目標も伺わせてください。
TSINGTAO:もっと世界で活躍したい、という気持ちが強くあります。実は今年から、グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーのボーティングメンバーにもなって、グラミー賞に投票したり、推薦したりできる立場になりました。今年、来年あたりで海外でも曲をリリースして、世界で自分の曲を聴いてもらうところまで持っていきたいと思っています。

ドラマーならではの感覚で行うビートメイク

ーーせっかくなので、制作環境についても聞かせてください。最初に買った機材は何でしたか?
TSINGTAO:何がなんでも、まずPCですよね。学校も会社も基本Windowsだったので、とにかくMacが欲しくて。ただ、最初はスペックの見方が分かっておらず、一度失敗しています。メモリの重要性を理解しないまま、最小構成の普通のMacBookを買ってしまって、Logicを入れたもののインストゥルメントを何個か立ち上げると止まってしまう。結局すぐに、Intel最後の世代のMacBook Proに買い直しました。

TINGTAOさんの現在の制作デスク

オーディオインターフェイスは、最初Solid State LogicのSSL 2+でした。DAWはLogicから始めて、トラックメイクを教わっていた竹島さんの影響でPreSonusのStudio Oneも並行して使うようになり、今もメインはStudio Oneですね。

ーー音源やプラグインは、どう揃えていったのですか?
TSINGTAO:最初は本当に真っ白だったので、おすすめされたものの中から、汎用性の高そうなものを素直に買っていく方式でした。WavesのHorizonというバンドルを買って、それ以外はXfer RecordsのSerumと、サンプルサービスのSpliceの2つで音源系はほぼ完結していましたね。洋楽志向が強く、J-POP的なアレンジをあまりしないこともあって、SerumとSpliceがあれば、だいたいの曲は作れてしまうんですよ。Kontaktのような総合音源を買い足したのは、だいぶ後になってからです。

ーー今のお気に入りのプラグインも、ぜひお願いします。
TSINGTAO:CableguysのShaperBoxはめちゃくちゃ使っています。僕は波形が見えないとまだ苦手意識があって、音量がここから始まってこう動く、と目で見て分かるツールが好きなんです。同じ理由でFabFilterのPro-Q 3もよく使いますし、トランジェント系ではWavesのSmack Attackも定番です。シンセはSerumが一番多くて、ArturiaのDX7 VやModular Vもよく立ち上げます。

音量の動きを目で見て加工できるCableguysのShaperBox 3

ーーModular Vとは、なかなかマニアックな選択ですね。
TSINGTAO:Modular VはMoogっぽいシンセベースが作れるので、ファンクやディスコっぽい曲にぴったりで。ベースでは、Native InstrumentsのScarbee MM-Bassもよく使います。どれもプリセットを少し調整するくらいの、直感的な使い方です。

あえてドラムは叩かない、ドラマーならではのビートメイク

ーー元ドラマーとして、ドラムはやはりご自身で叩いているのですか?
TSINGTAO:それが、叩きたい気持ちはあるのですが、実は全然叩いていないんですよ。生ドラム系の音源はToontrackのSuperior Drummerがメインで、以前はBFDも使っていました。指ドラムでの打ち込みではドラマーとしての技術が活かせないので、最近は音源付属のMIDIパターンをまず貼って、それを自分好みに加工しながら、Spliceのサンプルを適宜レイヤーしていく作り方です。

ダンス系など打ち込み主体のビートのときは、Studio One付属のサンプラーのImpact XTにサンプルを立ち上げて、ShaperBoxで音量の動きを自分好みの形に整えています。どちらにしても、完全な生ドラムというより半生っぽいサウンドですね。ダンス系のJ-POPでもインディーポップ寄りの曲でも、あまり生々しすぎると逆に違う気がしていて。

ーーとはいえ、ビートにはドラマーとしての経験が活きていそうですね。
TSINGTAO:ドラムがかっこいいと言ってもらえることは多いので、どこかに意識は出ているのかなと勝手に思っています。Spliceのサンプルもドラマー目線で選んでいますし、グリッドはかなり気にするので、そのままペタッと貼ることはしません。そもそも最初のころは、オーディオ素材を貼ってボリュームのオートメーションを書き、お気に入りのビート感に追い込む作り方をしていました。コンプやプラグインの難しい処理がよく分からなくても、ボリュームを書くことなら直感的にできましたからね。ドラマーとして、トランジェントを自分の手でいじりたかったのだと思います。

ーー最後に、現在のハードウェア周りも教えてください。
TSINGTAO:オーディオインターフェイスは、Universal AudioのApollo Twin Xで、UADプラグインもよく使います。LA-2Aのようななだらかにかかるコンプや、テープエコー系のプラグインが好きですね。ほかにはArturiaのMIDIキーボードと、モニタースピーカーのFocal Shape 65があるくらいで、いたって普通のセットアップだと思います。自宅で作ることも多いですが、セッションのときはマゴダイのスタジオに集まることも多いので、マイクやマイクプリはここにあるものを使うことが多いですね。

拠点になっているmagodai studio

ーー本日はありがとうございました。

プロ作曲家養成の山口ゼミが第53期の受講生募集中

TSINTAOさんが第一線の作曲家として活躍するキッカケになった山口ゼミが現在第53期の受講生を募集中です。受講期間は2026年10月3日~12月19日の3か月間で全8回の講義となっています。現在はオンライン講義が基本となっているほか、実際に受講生と講師であるプロ作曲家が集まって行うとリアル講義も組み入れた展開となっています。地方在住などでどうしてもリアル参加ができない場合は、すべてオンラインで、という受講も可能です。

受講料はその3か月・全8回で48,400円。8月31日までは早期申し込み特典として41,140円での申し込みが可能です。また、学生の場合は学生受講料というものがあり、38,720円となっています。

受講申し込みはPeatixから受講チケットを購入する形となっており、クレジットカード決済のほか、コンビニ/ATM、PayPal、銀行振込も可能となっています。

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